風鈴の音が、
すっと消えた。
さっきまで、
確かに鳴っていたのに、
何事もなかったように、
境内は静かになった。
耳が、
音を探している。
余韻だけが、
まだ残っていて、
静けさが、
少し濃く感じられた。
何かが起きたあとに、
必ず訪れる、
この時間。
説明できない出来事ほど、
そのあとの静けさは、
深い。
さっきの音に、
意味があったのか、
なかったのか。
考えようとすると、
言葉が、
静けさを壊す気がした。
だから、
何も考えないまま、
立っていた。
風は吹かず、
風鈴も動かない。
それでも、
空気は、
少し変わっていた。
音が消えたことで、
余計なものまで、
一緒に消えた気がした。
帰る時間が、
近づいても、
慌てなかった。
静けさの中に、
まだ、
いさせてもらっている。
そんな感覚だった。
何かをもらったのか、
何もなかったのか。
どちらでもいい。
音が消えたあとに、
残った静けさが、
今も、
心の奥で鳴っている。
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