神社に来たのに、
願い事が思いつかなかった。
いつもなら、
いくつか浮かぶはずなのに、
その日は、
言葉が出てこなかった。
無理に探すのを、
やめた。
願いがないことを、
悪いことだと思わなかった。
ただ、
そこに立っていた。
手を合わせて、
頭を下げて、
何も言わずに目を閉じる。
静けさだけが、
残った。
お願いをしないと、
意味がないような気がしていた。
でも、
何も求めない時間は、
思っていたより、
落ち着いていた。
叶うかどうかより、
今ここに来たこと。
立ち止まったこと。
それだけで、
十分だったのかもしれない。
帰り道、
風が吹いた。
あの話を、
ふと思い出した。
龍神様が来ている、
というやつ。
本当かどうかは、
わからない。
でも、
何も願わなかった心に、
風が通った。
それで、
少し前を向けた。
0 件のコメント:
コメントを投稿