2026年5月27日水曜日
癒される車
車というものは、ただ移動するためだけのものではないのかもしれません。
もちろん、どこかへ行くために乗るものです。
買い物へ行ったり、仕事へ向かったり、少し遠くの町まで走ったり。
でも、ふとした時に思うのです。
車の中には、車の中だけの静けさがあります。
ドアを閉めた瞬間、外の音が少し遠くなります。
エンジンの音が小さく響いて、窓の向こうにはいつもの道が流れていきます。
信号で止まった時、ぼんやり空を見る。
前を走る車のブレーキランプを見る。
横断歩道を渡る人を待つ。
それだけの時間なのに、なぜか少し心が落ち着くことがあります。
車の窓から見る景色は、歩いている時とは少し違って見えます。
同じ町なのに、少し映画の中の風景のように見えることがあります。
夕方の道路。
ゆっくり流れる車。
フロントガラスに映る空。
ラジオから流れる知らない曲。
そういうものが重なると、何でもない時間が少しやさしくなります。
車は、急ぐためのものでもあります。
でも、ゆっくり走る車には、また別の良さがあります。
急がず、追い越さず、ただ道に沿って進んでいく。
窓の外に見える家、川、木、空、遠くの山。
目的地に着くことよりも、その途中にある景色が心に残ることもあります。
子どものころ、後部座席から見ていた夜の道を思い出すことがあります。
街灯がひとつずつ流れていって、窓に自分の顔が少し映っている。
眠いけれど、まだ外を見ていたい。
あの時間も、きっと車の中にあった小さな癒しだったのだと思います。
車は人を運びます。
でも、それだけではなく、気持ちも少し運んでくれるのかもしれません。
疲れた日。
少し遠回りしたくなる日。
何も考えず、ただ景色を眺めていたい日。
そんな時、静かに走る車の時間は、心を少しだけ別の場所へ連れていってくれます。
癒される車とは、特別に高級な車のことではないのかもしれません。
速く走る車でも、目立つ車でもなく。
ただ、安心して座れて、窓の外の景色を眺められて、少しだけ自分に戻れる車。
そんな車がそばにあるだけで、日常の中に小さな休憩場所ができる気がします。
今日もどこかで、車は静かに道を走っています。
誰かを乗せて、誰かの荷物を運んで、誰かの帰り道になって。
その中にはきっと、ただの移動ではない時間もあるのだと思います。
窓の外を流れる景色を見ながら、少しだけ心がゆるむ。
それだけで、車というものは十分に癒しなのかもしれません。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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