神社に行ったとき、
ふいに風が吹くと、
龍神様が来ている、
そんな話を聞いたことがある。
本当かどうかは、
正直わからない。
でも、
そう聞いたあとに吹く風は、
少しだけ意味を持つ。
木々が揺れて、
空気が動いて、
さっきまで重かった頭が、
ほんの少し軽くなる。
それだけで、
来てくれたのかもしれない、
と思ってしまう。
願い事を、
うまく言葉にできなくてもいい。
深く頭を下げて、
何も言わずに立っている時間も、
きっと無駄じゃない。
風は、
何も約束しない。
叶うとも、
叶わないとも言わない。
ただ通り過ぎて、
空気を入れ替えていく。
それが、
人の思考にも似ている気がした。
答えをくれなくても、
流れが変わるだけで、
救われる瞬間がある。
龍神様が来ていたのか、
ただの風だったのか。
どちらでもいい。
あのとき、
胸の奥に溜まっていたものが、
少し抜けた。
それだけで、
十分だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿