瀬戸内海の島には、時間が少しだけゆっくり流れているような気がします。
海は大きく広がっているのに、どこかやさしくて、波の音も静かです。
遠くには小さな島がいくつも浮かんでいて、空と海のあいだに、淡い青色の影のように並んでいます。
港に着くと、潮の香りがふわっと流れてきます。
派手な観光地のにぎやかさではなく、昔からそこにある暮らしの音が、島全体にしみ込んでいるようでした。
細い坂道を歩くと、古い家の屋根、石垣、小さな畑、洗濯物、猫が眠る路地が見えてきます。
どれも特別なものではないのに、見ているだけで心が落ち着きます。
島の道は、急がなくてもいい道でした。
少し歩いて、立ち止まって、海を見て、また歩く。
それだけで、胸の中にあった小さな疲れが、少しずつほどけていくようでした。
高台まで上がると、瀬戸内海が静かに広がっていました。
船がゆっくり進み、そのあとに白い線が残ります。
風は強すぎず、頬をなでるくらいで、海のきらめきだけが静かに動いていました。
この島には、大きな出来事は起こらないかもしれません。
けれど、何も起こらない時間の中に、ちゃんと癒しがありました。
ベンチに座って海を眺めていると、何かを頑張らなくてもいいような気持ちになります。
ただ風を感じて、波の音を聞いて、空の色が少しずつ変わるのを見ている。
そんな時間が、今の自分には必要だったのかもしれません。
夕方になると、島の景色はさらにやわらかくなります。
海は淡い金色に染まり、家々の窓にも小さな光が灯ります。
港に戻る道で振り返ると、島全体が夕日に包まれて、まるで静かな絵の中にいるようでした。
癒される島とは、何か特別なものがある場所ではなく、心の音を小さくしてくれる場所なのかもしれません。
瀬戸内海に浮かぶ小さな島。
そこには、急がない海と、やさしい風と、何もしなくても満たされる時間がありました。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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