2026年6月7日日曜日

青いワスレナグサの丘

青いワスレナグサの丘

小さな丘の上に、青いワスレナグサが咲いていました。

派手な花ではありません。
大きな花でもありません。

けれど、その小さな青色は、
見ているだけで心が少し静かになるような、
やさしい色をしていました。

風が吹くと、丘一面のワスレナグサが、
そっと波のように揺れます。

青い花たちは、何かを大きな声で伝えるわけではなく、
ただそこに咲いているだけでした。

でも、その静けさが、
少し疲れた心にはちょうどよく感じました。

急がなくてもいい。
無理に笑わなくてもいい。
全部をうまくやろうとしなくてもいい。

そんなことを、花たちが小さく教えてくれているようでした。

丘の向こうには、やわらかな空が広がっています。
雲はゆっくり流れ、
時間まで少しだけ遅くなったように感じます。

青いワスレナグサの花言葉は、
「私を忘れないで」。

けれどこの丘で見ていると、
それは誰かを縛る言葉ではなく、
やさしい記憶をそっと置いていく言葉のように思えました。

忘れてしまっても、いい。
また思い出せたら、それでいい。

大切なものは、
無理につかまえていなくても、
心のどこかに静かに残っているのかもしれません。

ワスレナグサの丘に座っていると、
昔のことも、これからのことも、
少しだけやわらかく見えてきます。

失くしたもの。
届かなかったもの。
言えなかった言葉。

そういうものまで、
この青い花の中では、
静かに許されていくような気がしました。

夕方が近づくと、丘の青色は少し深くなります。
昼間の明るい青から、
夜に近い、落ち着いた青へ変わっていきます。

その変化を見ているだけで、
一日が終わることも、
そんなに悪いことではないと思えました。

今日できなかったことがあっても、
今日少し傷ついたことがあっても、
花は何も責めません。

ただ風に揺れて、
小さな青を灯しながら、
そこに咲いています。

青いワスレナグサの丘は、
特別な奇跡が起きる場所ではありません。

でも、静かに深呼吸をしたくなる場所です。

心の中に散らばっていたものが、
少しずつ元の場所へ戻っていくような、
そんなやさしい丘です。

また疲れたら、ここへ来ればいい。

青い花たちはきっと、
何も聞かずに、
また静かに迎えてくれるはずです。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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