散歩の途中、
いつもの池をのぞいてみる。
水面は静かで、
風が吹くたびに
やわらかな波が広がっていく。
その端っこに、
いつもの亀がいる。
石の上で、
じっと動かず、
ただ日差しを浴びている。
急ぐ様子もなく、
誰かに見られていることも気にせず、
首を少し伸ばして、
目を細めている。
あんなふうに、
ただ「いる」だけでいい時間が、
自分にもあるだろうかと考える。
何かを達成しなくても、
誰かに評価されなくても、
石の上で陽を浴びる亀のように、
今日という日を味わうだけでいい。
しばらく見ていると、
亀はゆっくりと水の中へ滑り込んだ。
音もなく、
波紋だけを残して。
その丸い波紋が広がるのを見ていると、
心の奥にたまっていた焦りも、
少しずつほどけていく気がした。
池にいる亀は、
何も語らないけれど、
「そんなに急がなくていいよ」と
背中で教えてくれているようだった。
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