白い小さな花が、丘いっぱいに広がっていました。
カスミソウは、一輪だけを見ると、とても控えめな花です。
大きく目立つわけでもなく、強い色で人の目を引くわけでもありません。
けれど、たくさん集まると、まるで白い霧が丘にふわりと降りたように見えます。
風が吹くたびに、細い茎がやさしく揺れます。
小さな花たちは、光を受けながら静かにきらめき、丘全体をやわらかい空気で包んでいました。
派手な景色ではありません。
驚くような迫力があるわけでもありません。
それでも、その丘に立っていると、心の中にあった小さな疲れが、少しずつほどけていくような気がしました。
カスミソウの白は、まぶしすぎない白です。
やさしくて、静かで、押しつけがましくない白です。
何かを急がなくてもいい。
無理に元気にならなくてもいい。
ただここで、風に揺れる花を見ていればいい。
そんなふうに言われているようでした。
丘の上から見る空は広く、雲はゆっくり流れていました。
遠くの景色も、足元の花も、同じ時間の中で静かに息をしているように見えます。
日々の中では、どうしても大きなものや、わかりやすいものばかりを追いかけてしまいます。
けれど、カスミソウの丘にいると、小さなものが集まって作る美しさに気づかされます。
小さな花。
小さな光。
小さな風。
そのひとつひとつが重なって、心を癒してくれる景色になるのだと思いました。
カスミソウの丘は、特別な言葉をくれる場所ではありません。
ただ静かに、そこにあるだけです。
でも、その静けさが心地よくて、少しだけ長く眺めていたくなります。
白い花が揺れる丘の上で、今日は何も考えすぎなくてもいい。
そんな気持ちになれる場所でした。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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