池のほとりを歩いていると、
水面の近くに小さな石が並んでいました。
その石の上に、
一匹のカメがのんびりと座っていました。
甲羅に日差しを受けながら、
まるで時間の流れを忘れているように、
じっと日向ぼっこをしていました。
池の水は静かに揺れていて、
風が吹くたびに、
小さな波がきらきらと光ります。
カメは急ぐこともなく、
誰かに見られていることも気にせず、
ただそこにいるだけでした。
その姿を見ていると、
こちらまで少しゆっくりした気持ちになります。
毎日、何かを急いで、
何かを考えて、
先のことばかり気にしてしまうことがあります。
でも、カメはそんなこととは関係なく、
今日の太陽を静かに受け止めていました。
池のまわりには、
草がそっと揺れていて、
遠くで鳥の声が聞こえます。
ときどき水面に小さな魚の影が走り、
丸い波紋が広がっていきました。
それでもカメは動きません。
眠っているようにも見えるし、
何かを考えているようにも見えます。
けれど、たぶんカメにとっては、
ただ暖かい場所にいるだけで十分なのかもしれません。
日向ぼっこをしているカメには、
派手な出来事はありません。
大きな物語も、
特別な言葉もありません。
それでも、
見ているだけで心が落ち着きます。
何もしない時間にも、
ちゃんと意味があるのだと、
そっと教えてくれているようでした。
疲れた日には、
こんな景色を思い出したくなります。
静かな池。
ゆれる水面。
あたたかい石の上で、
日向ぼっこをしているカメ。
それだけの風景なのに、
心の中にやさしい余白ができていきます。
急がなくてもいい日があって、
立ち止まってもいい時間があって、
ただ太陽の光を感じるだけでもいい。
そんなことを、
池のカメが静かに教えてくれた気がしました。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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