赤いバラが咲く丘を、
遠くから眺めているだけで、
少し心が落ち着くことがあります。
花というより、
そこだけ静かに時間が止まっているような場所。
丘の上まで続く小さな道の両側に、
赤いバラがゆっくりと咲いていて、
風が吹くたびに、花びらが少しだけ揺れます。
赤い色は強いはずなのに、
夕方のやわらかな光に包まれると、
不思議とやさしく見えます。
まるで、
今日一日がんばった人に、
「もう少しゆっくりしていいよ」と
言ってくれているようでした。
丘の上には、
何か特別なものがあるわけではありません。
大きな建物も、
派手な看板も、
にぎやかな音もありません。
ただ、赤いバラが咲いていて、
空が広くて、
風が通り抜けていくだけです。
でも、そういう場所だからこそ、
疲れた心にはちょうどいいのかもしれません。
何かを考えなくてもいい。
答えを急がなくてもいい。
ただ丘に立って、
赤いバラの向こうに広がる空を見ているだけで、
胸の中にたまっていたものが、
少しずつほどけていくような気がします。
バラは美しい花ですが、
どこか近づきすぎると痛そうな雰囲気もあります。
けれど、その少しの棘も含めて、
生きているものらしい気がしました。
やさしさだけではなく、
傷つかないための強さも持っている。
赤いバラの丘は、
ただきれいなだけの場所ではなく、
静かに強く咲いている場所でした。
夕日がゆっくり傾いて、
バラの赤が少し深くなっていきます。
昼間の明るい赤ではなく、
心の奥に残るような、
あたたかい赤。
その景色を見ていると、
何かを大きく変えなくても、
今日を少しだけ好きになれそうな気がしました。
癒される場所というのは、
いつも特別な場所とは限りません。
静かな丘。
やわらかな風。
赤いバラ。
ただそれだけで、
心がふっと軽くなる日があります。
赤いバラの丘は、
そんな小さな休憩をくれる場所でした。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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