2026年7月10日金曜日
癒されるルピナスの丘
風に揺れる花を見ていると、なぜか心まで軽くなることがあります。
春から初夏にかけて咲くルピナスは、空へ向かってまっすぐ伸びる、少し不思議な形の花です。
紫、青、桃色、白。
さまざまな色のルピナスが並ぶ丘は、まるで大地に置かれた大きな花束のように見えます。
丘の下から眺めると、細長い花穂が風に合わせて、ゆっくりと同じ方向へ傾いていました。
強く揺れるのではなく、誰かに静かにあいさつをしているような動きです。
花の間には細い道が続いています。
その道を急がず歩いていると、土の匂いと草の匂いが、やさしい風に運ばれてきました。
遠くから見ると同じように見えた花も、近くで見ると一つひとつ違います。
濃い紫の花。
淡い桃色の花。
白い花びらに、わずかに青色が混ざった花。
どの花も自分の色を隠すことなく、静かに空を向いて咲いています。
丘の上まで来ると、ルピナスの向こうに広い空が見えました。
薄い雲がゆっくり流れ、その下を小さな鳥が横切っていきます。
振り返れば、歩いてきた道が花の間を縫うように続いていました。
悩みごとがなくなったわけではありません。
明日から急に何かが変わるわけでもありません。
それでも、色とりどりの花に囲まれている間だけは、考えすぎていた心を少し休ませることができました。
ルピナスの花言葉には、想像力や、いつも幸せという意味があるそうです。
まっすぐ空へ伸びる姿を見ていると、立ち止まっても、また少しずつ前を向けばよいのだと思えてきます。
丘を下りる頃、風がもう一度ルピナスの花を揺らしました。
たくさんの花が静かに見送ってくれているようでした。
疲れた日に思い出したいのは、特別な言葉ではなく、この丘を吹き抜けていた風なのかもしれません。
色とりどりのルピナスが咲く丘には、心の中にできた小さな空白を、やさしく埋めてくれる時間が流れていました。
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