2026年10月7日水曜日

癒される茜色の空と駅のホーム

癒される茜色の空と駅のホーム

 改札を抜けて階段を上ると、ふわりとやわらかい風が頬をなでていきました。

夕方の駅のホームです。

ふと顔を上げると、屋根の向こうに広がる空が、茜色に染まっていました。

オレンジと桃色と、ほんの少し紫がまじったような、なんとも言えないやさしい色。ところどころに浮かぶ雲の縁が金色に光っていて、まるで空が一日の終わりに、そっとごほうびをくれているようでした。

急いでいた足が、ふっと止まる

さっきまで、頭の中はやることでいっぱいでした。明日の予定、返しそびれたメッセージ、夕飯の献立。気がつけば、歩幅もいつもよりずいぶん大きくなっていたと思います。

けれど、ホームに立った瞬間、不思議と肩の力が抜けました。

次の電車まで、あと七分。

いつもなら「長いな」と思ってしまう時間なのに、今日はその七分が、小さな贈りものみたいに思えます。

ホームの景色は、静かにやさしい

ベンチには、買い物袋を膝にのせたおばあさんが座っています。袋からのぞくネギの緑が、夕焼けの色によく似合っていました。

隣のホームには、制服姿の高校生が二人。話しているのか、ただ黙って並んでいるのか、ここからは分かりません。それでも、二人の影が長くのびて、仲よく寄りそうように重なっているのが見えました。

線路の向こうでは、信号の赤い光がぽつんと灯っています。遠くの街の窓にも、ひとつ、またひとつと明かりがともりはじめました。

昼と夜のあいだにある、このほんの短い時間。

誰かが「帰る場所」へ向かう時間なんだなと、ぼんやり思いました。

空の色は、毎日ちがう

考えてみると、同じ茜色の空は、二度とないのかもしれません。

今日の雲の形も、光の角度も、風のにおいも、きっと今日だけのもの。気づかずに通りすぎてしまう日がほとんどなのに、空はそんなこと気にもせず、毎日ちゃんと夕焼けを用意してくれています。

それがなんだか、ありがたいなと思いました。

誰に見られていなくても、がんばりを認められなくても、空はいつも通りにきれいで、いつも通りにそこにある。その「いつも通り」に、心がすうっと軽くなっていきます。

電車の音が、遠くから近づいてくる

やがて、ホームにアナウンスが流れ、線路の先に電車のライトが見えました。

あたりの空気がすこしだけ動いて、髪が揺れます。茜色の空は、さっきより少し深い色になっていました。

電車に乗りこむ前、もう一度だけ空を見上げました。

今日はいろいろあったけれど、それでも、この景色に出会えたなら、悪くない一日だったのかもしれません。

ドアが閉まる音とともに、電車はゆっくり動きだします。窓の外を流れていく茜色の空が、少しずつ夜に溶けていきました。

おわりに

忙しい毎日の中で、空を見上げる余裕をなくしてしまうことがあります。

でも、駅のホームで電車を待つ数分間は、空とゆっくり向き合える、ささやかな時間かもしれません。

もし帰り道に茜色の空を見つけたら、ほんの少しだけ足を止めてみてください。

きっと、今日の疲れがやさしくほどけていくはずです。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます

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