朝、ふと空を見上げたら、雲ひとつない青がどこまでも広がっていました。
夏の空とは、どこか違います。ぎらぎらした強さが抜けて、水をたっぷり含んだ絵の具を薄く伸ばしたような、透きとおった青です。
そんな日は、無性に運動場へ行きたくなります。
空が高いと、運動場はこんなに広い
秋晴れの日の運動場は、いつもより少しだけ広く感じます。
空気が澄んでいるからでしょうか。遠くの校舎の窓も、フェンスの向こうの木々も、輪郭がくっきりして見えます。
踏みしめた土は、ほんのり乾いていて、足の裏にやさしい。
夏のあいだは熱を持っていた地面も、今はぬくもりだけを残して、静かに秋の日差しを受け止めています。
風が運んでくる、秋の匂い
運動場のまんなかに立って、ゆっくり深呼吸をしてみます。
乾いた土の匂い。刈られたばかりの草の匂い。どこからか流れてくる、金木犀のほのかな甘さ。
吸い込んだ空気が、体の奥まで冷たくて気持ちいい。
「ああ、秋だなあ」と、声に出さなくても体が先に知っているような感覚です。
白線の上を歩いてみる
トラックの白線は、少しかすれて、ところどころ土に溶けかけています。
その上を、のんびり歩いてみました。
走るためのコースなのに、ただ歩くだけで、不思議と満たされます。
一歩ごとに、ぱさ、ぱさ、と乾いた足音。
急がなくていい。誰とも競わなくていい。そう思えるだけで、肩の力がふっとほどけていきます。
遠くから聞こえてくる、元気な声
運動場の端では、子どもたちがボールを追いかけていました。
笑い声、呼び合う声、ボールを蹴る軽い音。
それらが澄んだ空気に乗って、遠くまでまっすぐ届いてきます。
自分がそこに混ざっているわけではないのに、聞いているだけで心があたたかくなる。
元気な声は、秋の空とよく似合います。
ベンチで、空を眺める時間
運動場の隅にあるベンチに腰かけて、しばらく空を見ていました。
ひつじ雲が、ゆっくり、ゆっくり、形を変えながら流れていきます。
トンボが一匹、目の前をすうっと横切っていきました。
日差しはやわらかく、頬にあたる風は少しひんやり。
そのちょうどいい温度のなかで、頭のなかの「やらなきゃ」がひとつずつ静かになっていきます。
澄んだ空の下で、少しだけ素直になる
何もしない時間は、ぜいたくです。
でも、秋晴れの運動場は、そのぜいたくを自然に許してくれる場所でもあります。
広い空と、広い地面。
ただそれだけの景色が、心の余白をそっと広げてくれる。
そんなふうに感じた、ある秋の日でした。
おわりに
もし今日、空がきれいに晴れていたら、少しだけ近くの運動場や広場まで足をのばしてみてください。
走らなくても、運動しなくても大丈夫です。
澄んだ空の下で深呼吸をするだけで、心は思っているよりずっと軽くなります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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