2026年10月17日土曜日

癒される山の尾根道と朝日に透ける紅葉のグラデーション

癒される山の尾根道と朝日に透ける紅葉のグラデーション

 まだ空が青白いうちに、登山口を出発しました。

息が白くなるほどではないけれど、頬に触れる空気はひんやりと澄んでいます。足もとの落ち葉を踏むたびに、かさ、かさ、と乾いた音が静かな森に小さく響きました。

暗い樹林帯をぬけて、尾根へ

最初の三十分ほどは、薄暗い樹林帯の登りです。

まだ朝日が届かない森は、色が眠っているようでした。幹も葉も、青みがかった灰色にしずんでいます。

少し息が上がって、背中がじんわり温かくなってきたころ、木々の間がふっと明るくなりました。尾根に出たのです。

そこで、思わず足が止まりました。

朝日に透ける紅葉

東の空の低いところから、朝日がゆっくりと顔を出していました。

その光が斜めに差し込んで、尾根沿いの紅葉を一枚一枚、後ろから照らしています。

光を受けた葉は、まるで薄い和紙のようでした。

  • 光に近い枝先は、透きとおるような黄金色
  • そのすぐ下は、やわらかなオレンジ
  • さらに奥へ向かうほど、深い朱色、そして赤
  • 影になった枝には、まだ緑を残した葉

ひとつの山の中に、いくつもの季節が少しずつ混ざり合っています。そのつながり方が、絵の具をにじませたようにやさしくて、境目がどこにあるのか分かりません。

写真で見るよりも、実際に目の前にしたほうがずっと柔らかい。色というより、光そのものを眺めている気分でした。

尾根道を歩く時間

尾根道は、山の中でもとくに好きな場所です。

左右に視界が開けて、風がゆるやかに通り抜けていきます。登りの苦しさはもう遠くて、足もとの土の感触と、自分の呼吸のリズムだけが残ります。

ときどき風が吹くと、紅葉がひらりと舞って、朝日の中をゆっくり落ちていきました。

光の筋のなかを通るたびに、葉が一瞬だけ金色に光ります。

それを目で追っているだけで、頭のなかのざわざわしたものが、すこしずつほどけていきました。

少しだけ立ち止まって

見晴らしのいい場所で、ザックをおろして腰かけました。

魔法瓶のふたに注いだ温かいお茶を、両手で包みます。湯気が朝の光に透けて、ふわりと消えていきます。

遠くの山々は、薄い青のグラデーションになって重なっていました。手前の尾根は紅葉の暖かい色、奥の稜線は冷たい青。

暖かい色と冷たい色が、同じ景色のなかで静かに並んでいる。

それだけのことなのに、なぜだかとても安心しました。

山が教えてくれること

普段の生活では、予定や連絡や「やらなきゃ」に追われて、景色の色をゆっくり眺める余裕はあまりありません。

でも尾根道を歩いていると、急がなくていいんだな、と素直に思えます。

朝日は急がなくても昇ってくるし、紅葉は急がなくても少しずつ色を変えていく。

自分も、そのくらいのペースでいいのかもしれません。

おわりに

下山するころには、太陽はすっかり高くなって、紅葉の色も朝とは違う表情になっていました。

あの透きとおるようなグラデーションは、ほんの短い時間だけ見られる景色です。だからこそ、心に残るのだと思います。

もし朝早く起きられそうな日があったら、近くの山の尾根道を、ゆっくり歩いてみてください。

朝日に透ける紅葉が、きっとやさしく迎えてくれます。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます

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