2026年9月19日土曜日

癒される夏の終わりの水車小屋

癒される夏の終わりの水車小屋

木立の奥から、コトン、コトンという規則正しい音が聞こえてくる。古い水車小屋の水車が、ゆっくりと同じリズムで回り続けている音だ。夏の終わりの午後、蝉の声も少しずつ勢いを弱め、代わりに涼やかな水音が耳に届くようになる季節。木々の間から差し込む光は、真夏の白い眩しさから、どこか優しいオレンジがかった色へと変わり始めている。

水車小屋の壁は長い年月を経て黒ずみ、苔むした木肌が独特の風合いを見せている。その傍らを流れる小川は澄み切っていて、川底の小石までくっきりと見える。水は水車の羽根を叩きながら白い飛沫を上げ、その飛沫が夕暮れ前の柔らかな光を受けてきらきらと輝く。

小屋の周りには背の高いススキが揺れ始め、風が吹くたびにサラサラと乾いた音を立てる。すぐそばの畑では、稲穂が黄金色に色づき始め、夏から秋へと季節が静かに移り変わっていることを教えてくれる。時折、トンボが水面すれすれを飛び、羽根に反射した光がふっと消える。

水車の回る音、川のせせらぎ、風にそよぐ草の音。それらが重なり合って、まるで自然が奏でる子守唄のように響く。忙しい日々の中でふと立ち止まり、こんな景色を思い浮かべるだけで、肩の力がすっと抜けていくような気がする。

夏の終わりという、少し切なくも美しい季節の中で、変わらず時を刻み続ける水車。その姿は、移りゆくものと変わらないものが同居する、静かで温かい風景を私たちに見せてくれる。


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