2026年7月18日土曜日

癒される井戸

癒される井戸

古い家の庭の隅に、ひっそりと井戸が残っていました。

丸い石を積み重ねた井戸のまわりには、やわらかな緑色の苔が広がっています。

長い年月を過ごしてきたはずなのに、どこか清潔で、今も大切に使われているように見えました。

井戸の上には小さな木の屋根があり、その隙間から朝の光が差し込んでいます。

風が吹くたびに、近くの木の葉が静かに揺れ、丸い水面へ細かな光の模様を落としていました。

井戸の中をのぞいてみると、思っていたよりも深く、底のほうに澄んだ水が見えます。

水面には青い空と白い雲が小さく映り、まるで井戸の中にもう一つの空があるようでした。

木の滑車をゆっくり回すと、古い縄がかすかな音を立てます。

やがて引き上げられた桶の中には、冷たく透き通った水が揺れていました。

手に触れてみると、夏の暑さを忘れてしまうほどひんやりとしています。

昔の人も、この井戸のそばで水をくみ、顔を洗い、喉を潤していたのでしょう。

忙しい日々の途中にも、ここには水の音を聞きながら、静かに休む時間があったのかもしれません。

井戸は何も話しません。

ただ、深い場所からきれいな水を届けながら、長い間、この家の暮らしを見守ってきました。

冷たい水の感触と、木の葉を揺らすやさしい風。

それだけで、心の中にたまっていた疲れが、少しずつ薄くなっていくような気がします。

古い庭に残る小さな井戸は、今も変わらず、訪れた人へ静かな癒やしを届けていました。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます

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