2026年7月16日木曜日
湖の桟橋から見える景色
湖のほとりに、静かに伸びる木の桟橋がありました。
少し古くなった板の上を歩くたび、足元から小さな音が聞こえます。
急ぐ人もいなければ、どこかへ向かう船もありません。
桟橋の先にあるのは、広い湖と、ゆっくり流れていく時間だけでした。
水面には青い空が映り、遠くの山々が淡い色で重なっています。
風が吹くと湖に細かな波が生まれ、空や雲の形が静かに揺れました。
岸辺の木々からは、鳥の声が聞こえてきます。
姿は見えなくても、その声が森の奥から湖を渡り、桟橋まで届いていました。
桟橋の先に腰を下ろすと、足元を小さな魚が通り過ぎていきます。
透明な水の中で光を受け、銀色の背中が一瞬だけ輝きました。
何か特別なものがあるわけではありません。
けれど、何も起こらない景色を眺めているうちに、心の中にあった慌ただしさが少しずつ消えていきました。
遠くへ行かなくても、時間を忘れる場所はあるのかもしれません。
風の音を聞き、水面の揺れを眺め、深く息を吸う。
それだけで、疲れていた心に静かな余白が生まれていきます。
やがて雲の間から光が差し込み、湖の一部が明るく輝きました。
その光は水の上に細い道をつくり、遠くの山へ続いているように見えます。
どこへ続いているのかは分かりません。
それでも、その景色を見ていると、明日のことを少しだけ穏やかに考えられる気がしました。
湖の桟橋から見える景色は、いつも同じようで、少しずつ違います。
雲も、風も、水の色も、その日の心も同じではありません。
だからこそ、またここへ来たくなるのでしょう。
何も話さず、何も求めず、ただ静かな景色を見せてくれる場所へ。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
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