2026年9月26日土曜日
癒される秋の始発電車と朝焼け
まだ夜の匂いが残る改札を抜けると、ホームには数えるほどの人しかいない。始発列車が入ってくる音は、静かな街に響く最初の合図のようだ。ドアが開き、車内に足を踏み入れると、ひんやりとした空気が頬をすっと撫でていく。秋の朝は、夏の名残とは違う澄んだ冷たさを持っていて、それがどこか背筋を伸ばしてくれるような心地よさにつながる。
座席に腰を下ろし、窓の外に目をやると、まだ薄暗い街並みがゆっくりと後ろへ流れていく。電線の向こうの空が、ほんの少しずつ色を変えているのに気づく。紺色だった空の端に、淡いオレンジがにじみ始める瞬間は、何度見ても飽きることがない。電車が鉄橋を渡るとき、川面にもその光がうっすらと映り込み、まるで空と水が同じ夢を見ているようだった。
車内はとても静かだ。誰かがスマートフォンを眺め、誰かが眠りに落ちている。誰も言葉を発さないその空間には、不思議な安心感がある。エンジン音とレールの継ぎ目を渡る規則正しい振動だけが、時間をそっと進めているように感じられる。
朝焼けが本格的に色づき始めるのは、電車が郊外に差し掛かる頃だった。ビルの隙間から差し込む光が、少しずつ強くなり、雲の輪郭を金色に染めていく。田んぼが広がるあたりまで来ると、稲刈りを終えた田んぼの上に朝霧が薄く漂い、その上を光がすべるように広がっていく。秋特有の澄んだ空気のおかげで、光の輪郭がはっきりと見え、まるで一枚の絵のような景色がそこにあった。
始発電車に乗るという行為は、一日の中でも特別な時間だと思う。まだ誰も動き出していない街の気配を独り占めできるような感覚があり、朝焼けという自然の贈り物を、静かな車内から眺めることができる。忙しい日常の中で、こんな穏やかな時間があることに、あらためて感謝したくなる。
やがて電車が目的地に近づき、朝日が完全に顔を出す頃には、車内にも少しずつ人が増えていく。一日が始まる合図だ。けれど、あの澄んだ朝焼けと静かな始発電車の時間は、心のどこかにそっと残り続ける。秋の朝だけが持つ特別な余韻を感じながら、今日も穏やかな一日を過ごせそうな気がした。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
PR
コータのAmazonページへ
よろしければ、
のぞいてみてください
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 件のコメント:
コメントを投稿