2026年9月15日火曜日

癒される夏の終わりの入道雲

癒される夏の終わりの入道雲

窓を開けると、真っ白な入道雲がむくむくと空に立ち上がっていた。夏の盛りに見るものよりも、どこか輪郭がやわらかい。空気の底に、ほんの少しだけ涼しさが混ざり始めているからだろうか。

八月の終わり、九月の入り口。まだ蝉の声は聞こえるけれど、その合間にふと秋の虫の音が混じる。そんな季節の境目に浮かぶ入道雲は、夏を惜しむようにゆっくりと形を変えていく。

真っ青な空に、白い綿菓子のような雲。遠くの入道雲の下では夕立が降っているのが見える。こちらには届かない雨。ただその景色を眺めているだけで、心の奥がすっと静かになる。

子どもの頃、夏休みの終わりが近づくと、決まってこの雲を見上げていた気がする。宿題の重さも、新学期への不安も、あの大きな雲の下ではなんだか小さなことに思えた。今も変わらず、入道雲は見上げる者の悩みを一瞬だけ忘れさせてくれる。

夕方になると、入道雲は茜色に染まりはじめる。白かった塊が、橙色、そして深い紅色へと移り変わっていく様は、まるで一日の終わりと夏の終わりを同時に見送っているようだ。

もうすぐこの雲も見納めになる。秋が深まれば、空にはうろこ雲や、もっと高く澄んだ雲が広がるようになる。だからこそ今、名残惜しさとともに眺める入道雲には、特別な美しさが宿っているのかもしれない。

季節が移ろう境目に立ち会えることは、実はとても贅沢なことなのだと思う。忙しい毎日の中でも、ふと空を見上げる数十秒があれば、それだけで十分に心は癒される。

夏の終わりの入道雲。それは終わりを告げる雲であると同時に、次の季節への静かな合図でもある。


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